運動発達を考える上で大切な『運動の種類』のはなし…
今回は発達を考える上で大切な『運動の種類』に関してお話ししたいと思います。
『運動』と聞くと、”走る”、”ジャンプ”、”ボール遊び”などダイナミックな動きを連想するかと思います。そのような分かりやすい『運動』に加えて、もっと細かな運動についてお話しできればと思います。
運動に関しては、様々な分類や種類の考え方があります。
その中でも今回は、発達を考える上で特に大切となる運動の種類をお話しします。
それは、
①粗大運動
②巧緻運動(微細運動)
③眼球運動
の3つです。
1つずつ説明していきます。
まず、①粗大運動についてです。
これは先ほど出てきた、”走る”、”ジャンプ”、”ボール遊び”などのダイナミックな運動のことです。一番イメージがしやすいかと思います。
次は、②巧緻運動(微細運動)です。
これは、両手や指先を使った細かな運動のことです。具体的には、”ハサミで紙を切る”、”お箸で食べる”、”ピアノを弾く”などです。
最後は、③眼球運動です。
これは目の運動のことです。具体的には、”固視”、”追視”、”輻輳/開散”です。と言っても聞き慣れない言葉かと思うのでそれぞれ少しだけ説明します。
・固視:じーっと一点を見続ける運動で、眼球運動の基本となります。
・追視:目の前の物に対して、目(黒目)を上下や左右、斜めなどの方向に動かす運動です。文字を読む時や、飛んできたボールをキャッチする時に必要な運動です。
・輻輳/開散:輻輳は目(黒目)を中央(鼻の方)に寄せる運動で、いわゆる”寄り目”です。これは近くの物を見るときに必要な運動です。それに対して、開散は輻輳の状態から目(黒目)を外側(白目の中央)に寄せる運動です。これは遠くの物を見る時に必要な運動です。これら輻輳と解散は、距離感の異なる物を見る時に必要となります。具体的には、板書の時です。黒板の文字を見てからメモするために手元のノートに視線を移した際に輻輳が起こり、再度黒板の文字に目線を移した際に開散が起こります。
以上3つの運動が発達を考える上で大切です。
3つともに大切ですが、ベースとなるのは①粗大運動です。粗大運動は、”走る”などの大きな動きもですが”座る”、”立つ”など姿勢を保つ運動も含まれます。
姿勢が安定することで、巧緻運動や眼球運動がより行いやすくなります。このメカニズムに関しては今回は詳しくお話ししませんが、また今後お話しできればと思います。
また、今回はそれぞれの運動を独立して説明しましたが、実際は同時に2つ以上の運動が行われることがほとんどです。
今回はこれで終わります。
今回の内容は基本的な話が中心でした。次回はより具体的に普段の生活動作に繋げた話ができればと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
運動の発達について
今回は『運動の発達』に関してお話ししたいと思います。
運動の発達に関しては、言い出してしまうと脳科学や解剖学、生理学など様々な視点があるのですが今回はざっくりと大枠のお話ができればと思います。
運動発達にはいくつかの原則があり、今回は3つお話ししたいと思います。
一つ目は、『頭から足へと発達する』です。
つまり運動の発達は、頭→腕→体幹→手足→足の順番で発達するということです。
生まれたばかりの赤ちゃんを例にもう少し具体的に言うと、
①頭:生まれてすぐ母乳を飲む、おもちゃを見る、首が座る(生後すぐ〜4ヶ月ぐらい)
②腕:おもちゃに手を伸ばす(生後4〜6ヶ月ぐらい)
③体幹:寝返りをする、床に座る(生後5〜8ヶ月ぐらい)
④手足:ハイハイをする、つかまり立ちをする(生後8〜11ヶ月ぐらい)
⑤足:歩く(生後12〜15ヶ月ぐらい)
という感じです。
二つ目は、『体の中心から外側へと発達する』です。
これは少し分かりにいかも知れませんが、体の中心に近い部分から遠い部分へと発達することを指します。
これは主に手や足の発達で見られ、具体的には
・手:肩関節→肘関節→手関節(手首)→手指関節
・足:股関節→膝関節→足関節(足首)→足趾関節
と言う感じで、体の中心に近い関節から遠い関節へと発達していきます。
歩き始めたばかりの赤ちゃんを例にもう少しだけ具体的に言うと、
①歩き始めたばかりの頃は股関節を動かし膝は少し曲がったままペタペタと歩く
②徐々に膝関節の動きが増える(曲げ伸ばし)
③足首の動きが増え踵で足をつくことでペタペタとは歩かなくなる
④つま先で床を蹴り出すことで歩くスピードが上がっていく
と言う感じです。
最後は、『全体から部分へと発達する』です。
これも少し分かりにくいですが、体のいろんな部分を一緒に動かす単純な運動から別々に動かす複雑な運動へと発達することを指します。
スプーンの持ち方を例に具体的に言うと、
①上からグー握りで持つ
②少し親指と人差し指は伸びてつまむように持つ(それ以外の3本の指は握ったまま)
③下から持ち、親指と人差し指の全体でつまむように持つ
④親指と人差し指と中指の指先でつまんで持つ
と言うように、初めは5本の指全てが一緒に握っていましたが、徐々に親指と人差し指がそれ以外の3本とは別の動きになり、それに中指も加わって指の全体ではなく指先でつまんで持つようになります。そして最終的には、箸を器用に使えるようになります。
以上が3つの運動発達の原則になります。
そして最後に運動発達において大切なことは、
①基本的には、これら原則にある発達の順番は変わらない
②それぞれの運動に意味があり、十分に経験することで次の運動へと発達することができる
③発達のスピードには個人差がある
です。
あまり人と比べたり、焦って難しいことをさせようとするのではなく、その子のペースを大切にしながら今している運動をしっかりと経験させることが大切です。
今回はこれで終わります。
今回の内容はあくまでも、運動発達の原則です。全ての子どもに絶対当てはまるわけではありませんが、少しでも子供のことを考える参考になれば嬉しいです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
発達性協調運動障害に対する作業療法士の支援方法
前回(と言っても約2年前ですが…)、『発達性協調運動障害』に関して簡単にお話ししました。(別名:発達性協調運動症[DCD])
今回はより詳しく、普段僕のような作業療法士がどのように支援を行うのかに関してお話ししたいと思います。
復習になりますが、『発達性協調運動障害』とは粗大運動(全身を使った運動)や巧緻運動(手先や指先を使ったの運動)の発達に特性があります。
そんな特性に対して、作業療法士がまず行うことは、本人の力を評価することです。
もう少し具体的に言うと、①どんな運動はできるのか?、②どんな運動はできないのか?
そして、③どんな運動はもう少しでできそうか?です。
①②はそのままの意味で、例えば、ジャンプができるか?ハサミで直線が切れるか?など1つの運動ができるかどうかを判断します。これは正直、見る基準さえ知れば誰でもある程度は判断できると思います。
重要なのは③の「どんな運動はもう少しでできそうか?」です。
例えば、
「この子は、ハサミで1回は切れるけど、直線は切れない…でも2回連続でなら切れるかも…」
このように、もう少しでできそうな運動を考えていきます。
そして次に行うのが、できない理由の分析です。
ハサミで直線が切れないのはなぜか?を考えます。
例えば、
A .ハサミの開閉がうまくできないのか?
B.反対の手でうまく紙を持つことができなのか?
C.ハサミのサイズが手の大きさに合っていないのか?
D.他の物が気になって集中できないのか?
E.ハサミが嫌いなのか?…
などなど、たくさん考えられます。
ABのように技術面に目が行きがちですが、実は意外とCのような道具の問題や、DやEのような集中力や気持ちの問題であることも多いです。
このように、まずは幅広く様々な視点から理由を分析します。そして、目星が付いたらさらに細かく分析を行なっていきます。
例えば、A(ハサミの開閉)に目星を付けると、
・どの指を使って、どんな持ち方をしているのか?
・開閉のうちどちらの動きに問題があるのか?
・力が弱いのか?強すぎるのか?
・スピードが早すぎるのか?
などなど、さらに理由を深掘りしていくのです(実際はもっともっと深掘りします…)。
そして、最後に行うのが、できるようになるための支援です。
これが最も、本人やご家族などが知りたいことだと思います。
評価をして、理由の分析をして、どうすればできるようになるのか?を考えていきます。
先ほどのハサミの例で言うと、
・一つのリングには親指を、一つのリングには中指と薬指と小指を入れる、ことを意識する
・大きくハサミを開いて根元で切るように意識する
・もう少し小さいサイズのハサミを使う
・まずは紙ではなく、本人の好きな粘土遊びの中でハサミを使ってみる…
などなどです。
全ての作業療法士が、とは言いませんが多くの作業療法士はこのように、
・本人の力の評価
・できない理由の分析
・できるようになるための支援
を考え、それを本人やご家族の方々などへ伝えたり、訓練の中で練習したりしています。
今回はこれで終わります。
次回は、運動発達に関してお話しできればと思います。
今後はもう少し投稿頻度を上げていきたいと思います。。。。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
発達性協調運動障害とは・・・
『発達性協調運動障害』
という言葉を聞いたことがありますか?
発達障害の一つであり、文字の通り協調運動に特性を持つことが特徴です。
昔からの言葉で言うと、いわゆる「運動音痴」「不器用」などの状態です。
ただ、発達性協調運動障害と診断されるケースは、日常生活や社会生活において問題をきたす場合です(年齢相応にできない)。
例えば、ボタンができない、靴紐が結べない、縄跳びが飛べない、箸が使えない、ボール投げができない、などなどです。
この協調運動は大きく2つに分けることができます。
一つは粗大運動、もう一つは巧緻運動です。
粗大運動とは、ジャンプやスッキップ、ボール遊び、跳び箱、などです。
巧緻運動とは、文字を書く、ハサミで紙を切る、折り紙を折る、などです。
子供によって苦手な部分は様々で、粗大運動と巧緻運動の両方苦手な子もいれば、どちらか一方だけ苦手な子もいます。
この協調運動は大人になっても残存しますが、子供に比べると大きく問題とはなりにくいです。
と言うのも、上記に挙げた、スキップやボール遊びなどは大人になってする機会は少なく、仕事や日常生活には大きな問題とはなりにくいからです。加えて、文字を書くなどの動作も成長に合わせてある程度は上達しますし、現代社会においてはパソコンなど文字入力が主流です。
それに比べ、子供においてはこの協調運動の苦手さは大きな問題となることが多いです。
なぜなら、ボール投げや縄跳びは園生活や学校生活において非常に機会の多い活動であり、さらに運動はできるできないがはっきりと分かりやすいからです。
できないと友達にバカにされたり、先生に注意されたりすることで自信を失ったり、人間関係に大きな影響を及ぼします。
にも関わらず、この『発達性協調運動障害』は他の発達障害に比べ、保護者からの困り感は少なく、単独で診断を受けることは多くありません。
最後にお伝えしたいのは、協調運動の苦手さを持つ子供たちに対して、「ただの運動音痴だ」「真面目にしなさい」「練習量が足りてないだけだ」などの解釈や対応は好ましいとは言えません。
本人は一生懸命に取り組んでいるにも関わらず、思ったように体が動かせず、苦しんでいるのですから。。。
本人の気持ちに寄り添ってあげることがまず第一で、作業療法士や理学療法士などの専門家に相談してください。
今回はこれで終わります。次回以降でもう少し詳しくお話しできればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
感覚の凸凹とは・・・
発達障害の子供には、感覚の凸凹があることが多いです。
特に、ASD(自閉スペクトラム症)児では診断基準にもなっているほど頻度の多い特性の1つです。
では、感覚の凸凹とはなんなのでしょうか??
感覚(感じ方)は、人それぞれであり誰しもが同じではないです。
簡単にいうと、ある感覚刺激(例えば大きな音や揺れなど)に対する感じ方は人それぞれ異なっており、感じ方には幅があります。
ある人は平気な音でも他の人は耐え難いぐらい不快に感じたり、同じ乗り物でも酔う人と酔わない人がいます。
このような感覚の違いにより、潔癖症の人や車酔いしやすい人、絶叫アトラクションが好きな人・・・などなどまるで性格のようなことの中にも感覚の影響はあります。
ですので、人によって感覚の違いがあることは当たり前のことです。
しかし、発達障害児の持つ感覚の凸凹とは、生活する上で著しく困難さをきたすことが多いです。
例えば、掃除機の音が耐えられず癇癪を起こしたり、少しでも人の手が自分に当たると怒り出したり、危険な高い所によじ登るなど本当に様々あります(同じような行動でも感覚以外が原因であることもあります)。
今回、細かく原因や対応をお話しませんが、一つだけ大切なことをお話ししておきます。
感覚の凸凹は決して子供のワガママでもなけれが子育ての仕方が原因ではありません。
生まれつきの脳の働きが原因です。
ですので、子供を頭ごなしに注意したり、強要したり、止めるようなことは望ましい対応とは言えません。もちろん、生命の危険や怪我のリスクがある場合は別です。
まずは、子供の気持ちを受け止めて共感してあげることで、子供たちは少しずつ安心や納得することができていきます。
そして、感覚の感じ取り方は感情や人との関係性にも大きな影響を受けます。
私たちもそうだと思いますが、嫌なことがあってイライラしている時は敏感になるでしょうし、同じ関わりでも好きな人と嫌いな人では受け取り方は違うと思います。
ですので、子供の感情の変化にも気をつけながら、子供たちとのより良い関係づくりをすることが大切です。
では、今回はここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
スモールステップとプロンプト・・・
今回は、成功体験に大切なスモールステップとプロンプトについてお話ししたいと思います。
スモールステップとは、文字通り『小さな段差』です。
つまり、細かく段階づけを行うということです。
いきなり難しい課題から取り組んだり、急にレベルを上げるのではなくて、簡単な課題から少しずつレベルを上げていくのです。
プロンプトとは、子供から期待する言動を引き出すための補助(手助け)のことを言います。ABA(応用行動分析学)などでよく使われる用語でもあります。
例えば、直接子供の体に触れて動作を誘導したり、言葉の一部を伝えて発語を引き出すような支援のことです。
具体例で説明したいと思います。
例えば、『縄跳びで前跳びができるようになる』ことを目標にするとします。
もちろん状況次第ですが、いきなり縄跳びを持たせて反復練習させてもなかなか上達は難しいです。
そのため、まず私たち作業療法士はその子がどこでつまづいているかを分析します。
ジャンプの問題なのか、縄回しの問題なのか、リズム感の問題なのか、、、、などなど。
ここでは、例えばジャンプの問題が大きいと感じた場合の練習を考えて見ます。
まず縄は持たずに、
①その場で連続ジャンプをする練習
②できるだけ楽に(必要最低限の高さや力で)一定のリズムでジャンプする練習
③ジャンプと交互に両手を叩く練習
④ジャンプと一緒に、縄を回すように両手首を回す練習
・・・・
というようにできるだけ細かく段階づけを行います。
これがスモールステップです。
これにプロンプトを加えるとすると例えばこうです。
①その場で連続ジャンプをする練習
→ジャンプをする位置にテープを貼る
②できるだけ楽に(必要最低限の高さや力で)一定のリズムでジャンプする練習
→飛ぶ高さを具体的に教える、ジャンプするタイミングで体に触れる
③ジャンプと交互に両手を叩く練習
→手拍子で両手を叩くタイミングをとる
④ジャンプと一緒に、縄を回すように両手首を回す練習
→端を丸く結んだタオルを持たせる
・・・
これはあくまで一例ですが、このように子供の運動を引き出すプロンプトを行います。
(※当然、ケースバイケースですのでこれが正解や万能ではありません。)
以上のように、「ここまでするのか・・!?」というぐらい細かなスモールステップや、きめ細やかなプロンプトを訓練の中では行っていきます。
そして、子供の成功体験を丁寧に積み上げていくのです。
今回はここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
成功体験は最高の栄養になりうる・・・
前回、運動には成功体験が大切だとお話しました。
成功体験が大切なのは、運動だけではありませんが、子供(特に幼児期)では運動の成功体験は極めて大切になります。
というのも、子供の頃の運動はただ「体の使い方が上手くなる」だけではなく、理解面の成長にも大きく影響するからです。さらに、運動は成功と失敗が分かりやすいという側面もあるため、子供自身が成功を感じやすいです(失敗も同様ですが・・・)。
赤ちゃんの頃をイメージすると分かりやすいかと思います。
初めは寝ているだけですが、徐々に首を動かし、寝返りをすることで周囲の世界を目で認識します。そして、寝返りをし、物に手を伸ばし握ったり、振ったり投げたりして遊びます。
さらに、ハイハイや歩き出すことで自分の世界を広げ、いろんなことを学んでいくのです。
では、どのように成功体験を子供にさせていくのか?ということになります。
簡単にいうと、上手に大人が黒子になり、子供本人の『できた!』を増やしていくのです。
そのためには、スモールステップとプロンプトが重要になります。
今回は細かな説明は割愛しますが、スモールステップとは小さく段階づけを行うことで、プロンプトとは適切な補助のことを指します。
つまり、今の子供の力に合わせてまずは簡単なレベルから開始し、細かく段階づけを行いながら成功を重ねていくのです。そして、その際に大人が上手く補助をしながら子供自身があたかもできたかのように仕向けていくのです(まあ、実際にできているのですが・・)。
しかし、これが本当に難しいです。
ですので、これを保護者にいきなり求めることはしません。
まず、専門家である私たちがしっかりと見極めながら成功したことのエッセンスを保護者にお伝えし、できるだけ普段の生活で成功体験を子供に感じてもらうのです。
それでは、今回はここまでにします。
次回は、スモールステップとプロンプトを掘り下げていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。