発達性協調運動障害に対する作業療法士の支援方法
前回(と言っても約2年前ですが…)、『発達性協調運動障害』に関して簡単にお話ししました。(別名:発達性協調運動症[DCD])
今回はより詳しく、普段僕のような作業療法士がどのように支援を行うのかに関してお話ししたいと思います。
復習になりますが、『発達性協調運動障害』とは粗大運動(全身を使った運動)や巧緻運動(手先や指先を使ったの運動)の発達に特性があります。
そんな特性に対して、作業療法士がまず行うことは、本人の力を評価することです。
もう少し具体的に言うと、①どんな運動はできるのか?、②どんな運動はできないのか?
そして、③どんな運動はもう少しでできそうか?です。
①②はそのままの意味で、例えば、ジャンプができるか?ハサミで直線が切れるか?など1つの運動ができるかどうかを判断します。これは正直、見る基準さえ知れば誰でもある程度は判断できると思います。
重要なのは③の「どんな運動はもう少しでできそうか?」です。
例えば、
「この子は、ハサミで1回は切れるけど、直線は切れない…でも2回連続でなら切れるかも…」
このように、もう少しでできそうな運動を考えていきます。
そして次に行うのが、できない理由の分析です。
ハサミで直線が切れないのはなぜか?を考えます。
例えば、
A .ハサミの開閉がうまくできないのか?
B.反対の手でうまく紙を持つことができなのか?
C.ハサミのサイズが手の大きさに合っていないのか?
D.他の物が気になって集中できないのか?
E.ハサミが嫌いなのか?…
などなど、たくさん考えられます。
ABのように技術面に目が行きがちですが、実は意外とCのような道具の問題や、DやEのような集中力や気持ちの問題であることも多いです。
このように、まずは幅広く様々な視点から理由を分析します。そして、目星が付いたらさらに細かく分析を行なっていきます。
例えば、A(ハサミの開閉)に目星を付けると、
・どの指を使って、どんな持ち方をしているのか?
・開閉のうちどちらの動きに問題があるのか?
・力が弱いのか?強すぎるのか?
・スピードが早すぎるのか?
などなど、さらに理由を深掘りしていくのです(実際はもっともっと深掘りします…)。
そして、最後に行うのが、できるようになるための支援です。
これが最も、本人やご家族などが知りたいことだと思います。
評価をして、理由の分析をして、どうすればできるようになるのか?を考えていきます。
先ほどのハサミの例で言うと、
・一つのリングには親指を、一つのリングには中指と薬指と小指を入れる、ことを意識する
・大きくハサミを開いて根元で切るように意識する
・もう少し小さいサイズのハサミを使う
・まずは紙ではなく、本人の好きな粘土遊びの中でハサミを使ってみる…
などなどです。
全ての作業療法士が、とは言いませんが多くの作業療法士はこのように、
・本人の力の評価
・できない理由の分析
・できるようになるための支援
を考え、それを本人やご家族の方々などへ伝えたり、訓練の中で練習したりしています。
今回はこれで終わります。
次回は、運動発達に関してお話しできればと思います。
今後はもう少し投稿頻度を上げていきたいと思います。。。。
ぜひ、コメントで感想やご質問などお気軽に書き込んでください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。